はじめよう 保安用品生活

担当者は通常の見学コースを案内したが、室長は設計図から疑問に感じていた機器類について、特に念入りに調査しょうと思いへその場への誘導を依頼した。
担当者は、「そこはちょっと」と難色を示したが、室長の根気に負けて承諾した。 案内されると、心配した通りのートラブルが起こっていた。
あるコンベアの動力部付近では、過負荷に耐えられずにモーターがダウン、復帰のために外にかきだした破砕ごみが周辺に散乱していた。 またへ破砕されたごみと生石灰を反応させる主反応機も調子が悪いといった本音も聞き出すことができた。

さらに、設計上の処理能力が時間内に満たせず、未処理のごみは、メーカー派遣の業者が時間外に処理しているという点も確認できた。 臭気も発生していた。
こうしてT室長は、これまでの、RDFは有望へ夢のリサイクルといった伝聞とは、まったく異なった声を拾うことができた。 T室長は現地で集めた資料をまとめ、レポートとして芹津事務局長に提出し計画の再考、あるいはさらなる綿密な詰めを共同企業体とする必要性を訴えた。
このまま工事が進み、国内最大規模のRDF施設が完成しても、トトラブルが発生する可能性が高いことを現地で撮影した写真も持参しても警告した。 しかし、事務局長は、「事業は既に始まっている。
すべて順調へ問題はない。 君はいちゃもんをつけるのか」とすごまれたという。
こんな事情があったにもかかわらず、建設工事は順調に進んで、一九九六年(平成八年)八月に建物部分は完成、システムを支える処理機器類の設置も、順次行なわれていった。 この間へ当局や組合議会は、生産されるRDFの消費先の開拓や、管内消費を依頼したC製薬兜x士御殿場研究所でのボイラー建設の進捗状況などを見て回りへセンター稼働後のRDF消費に、万全の態勢を築いていった。
一九九七年(平成九年)に入るとRDFを運搬する専用車両の種類やRDFの公共施設への利用拡大も協議されて、「夢の燃料KPfc」は順風満帆の状態だった。 この波に押されて導入検討当初は不安を感じていた共産党や公明党の野党議貞三人も、リサイクルの甘言にはまっていった。
〔RDF計画の責任者が突然勇退〕そんな中へ一九九七年(平成九年)二月へ状況に異変が起こった。 ほかでもないRDFセンターの導入に積極的に働き、「次世代型ごみ処理施設」としてあらゆる場面で、ごみに対する発想の転換を訴え続け、完成後は第一功労者として勲章ものだった広域行政組合のA事務局長が突然へ定年まで二年を残して勇退を表明したのだ。
御殿場市からの出向職員として、近年稀に見る大規模施設を建造するメーカー側との細部にわたる折衝をはじめ、行政側の工事の最終的な責任者だった職員の辞職願いは、「寝耳に水」の話だった。 この辞職願いは周辺だけでなり、庁内全体を揺るがした。
「なぜこの時期に早まった辞職を決意したのか」、表面には出なかったものの、しばらはこのうわさで庁内はざわめいていた。 局長の勇退理由は、「工事は順調に進んでお一、後進に道を譲たい」の一点張り。

RDFを専従で担当し、完成後は最大の栄誉を与えられるという立場の人間の辞意に、当時の市長と助役は慌てた。 再三にわたと本人と直接話もして勇退を思いとどまるよう説得した。
だが、本人の意思は国一、結局三月三十一日付の退職が認められたKQ&H完成の丁度へ一年前だっこの勇退騒動から一年経過して、機器類のトトラブルや生産したRDFの消費先確保のむずかしさなど、様々な困難な課題を抱える状態に直面して、苦戦を強いられている現場職員たちは、局長はすでに今日の窮状を予測して、早めの敵前逃亡を図ったのだろうと恨みを並べている。 工事はつつがな推移して、九七年十一月には、翌年二月からの試運転についての具体的なスケジュールが、共同企業体から示された。
十二月には、廃棄物循環型社会基盤施設整備計画検討委員会も組織されて、RDFの今後の利用に積極的に取り組む方針が示された。 年が明けて、九八年一月下旬と二月上旬には、御殿場市と小山町の議会へ竣工を目前にした建設工事の進捗状況が報告された。
そして、日量一五〇トンと、国内最大の処理規模を誇るシステムの性能をチェックするための試運転に向かって、二月三日からごみのピット投入が始まった。 ある程度へ量が確保できたためへ二月十七日からA系列で一日一五時間稼働して、日量最大七五トンの処理能力の実証に向けも続いてB系列でも同様の試験がスタートした。
こうして、可燃ごみを直径約一石ンチ、長さ五センチ前後のペレット状に固めて、燃料としてのRDFを生産する、国内最大規模の施設が動き出した。 これまでの順調な流れと、試運転までたどりついた施設を前にKグループの技術陣は自信満々の表情で各種機器類のチェックに入った。
あとは、三月二十日の引き渡し、四月一日からの正式稼働を待つばかとなった。 〔まず新兵器がダウン〕試運転が始まった。
ごみを燃料に変えるバラ色の施設として、関係者の期待を一身に集め、システムがフル稼働し始めた。 だが、試運転開始早々の一九九八年(平成十年)二月十八日、まず、ごみの入った袋を破となかのごみを生ごみなどの厨芥類と、紙やプラスチック類といった雑芥類に分ける「破袋分別機」のギアが、破損した。
この機器は旧通産省資源エネルギー庁が立ち上げたプロジエク「スターダス0」の一環として膨大な、一説によると一〇〇億円という開発費を使いへE製作所がメインとなって完成させたという。 可燃ごみの初期処理機で、内部を高速回転させてごみ袋を破久遠心分離と比重差の法則を利用して、可燃ごみを性質別に分けるというふれこみだった。

ごみの初期処理の段階では、大きな刃を持った破砕機で、袋ごと砕いてしまうのが通例だ。 しかし、それだと、生ごみと紙類、プラスチック類などがゴチヤゴチヤとなり、固形燃料化システムにとっては、後段での処理に手間取一、不都合も生じるため、前段で分離する方が得策としてへこの分別機がセッーされた。
これまでにない発想から生まれた機器で、廃棄物学会で発表するほどメーカーも自慢の新製品だった。 新製品は初めて、御殿場・小山RDFセンターで試された。
しかし、稼働早々へ想定外のトトラブルを引き起こしてしまった。 ごみの過負荷に耐えられず、回転シャフが折れた一、ギアの一部が度々破損する事故で、ラインがうま流れなくなった。
また設計通ちごみが性質別に分離されないという、新機器には致命的な状況も発生した。 この破袋分別機以外でも次々とートラブルが発生、運転休止が続出した。
細か破砕した可燃ごみの水分を除去するためへ生石灰を添加する主反応機内での発火事故や爆発事故、あるいは破砕ごみをRDFに固める圧縮成形機内でのRDFの炭化現象へ発煙事故など、システムの稼働を長時間止めてしまうトトラブルが次々と起こってきた。 爆発が頻繁に起こる大きな円筒形の主反応機は、細かなった可燃ごみに、蒸気を送り込み、生石灰を加えて熱を発生させへこの熱で水分を蒸発、乾燥を促す仕組みとなっている。
これが、カーレルグループの特許でへこの化学反応を利用することによ一、乾燥工程での灯油ボイラーの燃費を低抑えることができて、施設の維持・管理費の低減をもたらすというのが、メーカーの説明だった。


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